考えれば考えるほど現実味を帯びてくる。

そういうことだったんだ。

最近よく不機嫌になる理由がやっと分かった。あれは、あたしに対するヤキモチだよね。


どうして気づかなかったんだろう。

ほんと、鈍感にも程がある。


ドキドキするこの心臓の動きにさえも、ずっと気づけなかったんだから。


慌てて家を飛び出した。


中田はさっき出ていったばかりだから、走ればきっと間に合う。

春休みが明けるまで待つなんてできない。

今、伝えるんだ。


「あれっ、どっち!?」


家を出てすぐにハッと気づく。

あたしは中田の家がどこにあるのかなんて知らない。どっちの方向にあるのかすらも。