ひらひら。
そう舞い落ちる桜は儚くも綺麗だ。
なんとなくそれを踏みたくなくて。

「恋!」


ふと振り返ってみてみると、
紺色だ。桜の薄いピンクとその色は
あっていて、
つい見惚れてしまっていた。

「…恋?」
「はっ!ごっ…ごめんね、秋。
おはよう」

神崎秋。
それが、私の幼馴染だ。
男のくせに長い紺色の髪を、
ひとつに短くしばっている。


「お前な…入学式くらい髪セットしろよ」

秋とは違うんだよ、私は。
なんて言おうと思ったけど
やめておいた。


「ね、あとで髪くくってよ!」

「はいはい。」