と思ったら、デスクの電話が鳴った。


『はい、沢口です』


「やっぱまだ居たか」


この声は…


『居ましたけど、何大沢』


電話の相手は美緒と同期で営業部二課主任の大沢智です。


「また残業か、女で残業するのはお前くらいだぞ。
まっ、お前が仕事を頑張ってくれるおかげで、俺は出世出来た様なもんだけどな」


美緒の同期は部署が違っても仲がいい。


『何の話してんの?』


「忘れたのかよ…、お前の数々のアドバイスのおかげで、俺の営業成績はうなぎのぼりの上がって、今は主任だぞ」


『あぁー、そうでしたね、主任。
出来の悪い同期を持つと苦労しますよ。
ってか、お礼言うんだったら、こっちに顔出していいなさいよ』


と何事もハッキリ言ってしまう美緒。