美紀は美緒のデスクの前に来た。


「今日も残業、頑張るわね」


『まっ、いつものことですから』


「ねっ、今度うちに来ない。
まだ一度も来てくれてなかったよね。
私の手料理ごちそうするから」


美紀は今まで何度も美緒を家に誘っていたが、都合が合わずに行っていなかった。


『はい、ありがとうございます。
仕事が落ち着いたらお邪魔させてもらいます。
美紀さんの手料理楽しみです』


美緒はそう言ってにっこり笑った。


「うん、待ってるね。
それじゃ、お先に、お疲れ様でした」


『お疲れ様でした』


こうして美紀も帰ってしまい、オフィスには美緒一人っきり。


『手料理か…、私は作れないや…』


と呟き、また仕事を始めた。