「番虎っていうのは……イチカ、
【虎守 天磨】(とらかみ てんま)って知ってるでしょ?」

「当たり前だ。私と同じ軽音部員だしな。オマケに【トラ】はドラムが上手い」

「【トラ】?」

「ほら、アイツは虎みたいだろう?
 だから【トラ】」



嬉しそうに話すイチカには悪いのだが、コタといいトラといい、思い思いのあだ名を付けられ……。
なんかもうホント乙。

コタに至っては大好きなイチカにあだ名で呼ばれることを嬉しく思っているが、これがマミなら「却下」だろう。



「まあいいわ。それで、その虎守くんがみんなに【番虎】って呼ばれてるの」

「へぇー、そうなんですか。でも、なんで【番虎】なんですか?」



コタが何気なーくマミに尋ねると、マミはずぃいッとコタとイチカに迫った。



「それなのよ!私も【番虎】の由来を調べてたんだけどね……。そしたらなんと、イチカ。
アナタに関係あるみたい」

「私がか?」



思わぬ指名にイチカは更に「?」の浮かべる数を増やす。

そんなイチカにマミはたっぷり間をおいて告げる。



「【番犬】ならぬ【番虎】。

つまりはイチカ、アナタを守ってる護衛虎ってワケ」