「問題ないさ、少しぐらい遅くなっても」

「…生島さん、自分がここに居ると計算に入れて、回りましたね?」

「もちろんさ、ルート次第で早く終わらせるのも、配達人の腕の見せ所だろ?」

生島が美味そうに、コーヒーを飲みながら答えると、なるほどと千歳がうなずいた。
            
              

「…千歳、中身は何だった?」

興味津々で、鳴海は千歳の読んでいる手紙を指した。

「MD…タイトルがないや…手紙には、″懐かしい物を発掘したので送ります″だって…何だろ?」

何のレーベルもないMDを眺めて、千歳は首を傾げた。

「聴いてみれば?」

生島が横から、口をはさんだ。

「あ、そうですね、じゃあ…」

千歳はかかっていたBGMを止めると、MDをデッキに入れた。

そして、再生ボタンを押すと、一瞬静かになった店内に、曲が流れはじめた…

そのMDには…

千歳と花園が共演した曲と、卒業式の時の演奏が入っていた。

そして手紙の裏側に、小さくこう書かれていた。             
″P・S 吹奏楽部より愛を込めて(なんてね)″            
Fin