†                        「さつきちゃーん、郵便でーす」

雨ガッパを脱ぎながら、郵便配達の生島晴彦がお店に入って来た。

夕方の空いてる時で、常連客が数人お茶を楽しんでいる。

「ご苦労様です、わざわざ中まですみません、ハルさん」

カウンター内から千歳は郵便物を受け取ると、少し大きめの封筒に、見慣れた文字が書かれていた。

「あれ、花園からだ。めずらしー」

カウンター席に腰かけていた鳴海は、千歳の手元をのぞき込んだ。

「やあ、鳴海君。君の郵便物、ここで渡してもいいかな?」

生島は穏やかに笑うと、郵便物を見せた。

「あ、はい、かまいませんよ」

「そりゃどうも♪よし、これで今日の配達終了だ。さつきちゃん、コーヒーもらえる?」

「あ、はい、いつものですね」

手際良く入れると、カウンター席に座った生島の前に置いた。

「局に帰らなくて、いいんですか?」

千歳がたずねた。