「…本当、どこから聴こえてきたのかなー、上の方なのは確かなんだけど…」
花園の追求を遮るように、千歳は口をはさんだ。
「分かった…ひく、弾かせて頂きますよ…」
千歳があきらめて席に着くと、花園はすかさず、机の陰から楽器のケースを取り出した。
「本当?嬉しいなー♪オレので良ければ、お貸しするけど?」
「…自分のがあるからいい…」
半ば脅迫され、誘導尋問に引っかかった自分をくやしく思いながら、千歳はたまたま持ってきていた、自分の楽器を大人しくセッティングしはじめた。
「指揮はいる?」
「いらない」
そっけなく申し出を断ると千歳は立ち上り、楽器をかまえると目を閉じた。
静かに音が奏でられ、生徒会室に澄んだ音色が響き渡っていく…
曲調はゆるやかに始まり、穏やかな旋律が繰り返えされ…メーンの小節に入った時、もう一つの音色が重なってきた。
目を開けると、花園が下のパートを弾いていて、千歳と目が合うとニッコリと笑った。
「千歳帰ったよー、どう?録れた?」
陽気な口調で花園は、生徒会室の隣にある資料室の扉を開けた。
「バッチリです、先輩」
返事をしたのは、ヘッドホンをしたまま手を上げた三波だった。
「先輩達の演奏久しぶりで、感動しちゃいましたー」
少し涙ぐみながら、一年生の早川世莉が言った。
花園の追求を遮るように、千歳は口をはさんだ。
「分かった…ひく、弾かせて頂きますよ…」
千歳があきらめて席に着くと、花園はすかさず、机の陰から楽器のケースを取り出した。
「本当?嬉しいなー♪オレので良ければ、お貸しするけど?」
「…自分のがあるからいい…」
半ば脅迫され、誘導尋問に引っかかった自分をくやしく思いながら、千歳はたまたま持ってきていた、自分の楽器を大人しくセッティングしはじめた。
「指揮はいる?」
「いらない」
そっけなく申し出を断ると千歳は立ち上り、楽器をかまえると目を閉じた。
静かに音が奏でられ、生徒会室に澄んだ音色が響き渡っていく…
曲調はゆるやかに始まり、穏やかな旋律が繰り返えされ…メーンの小節に入った時、もう一つの音色が重なってきた。
目を開けると、花園が下のパートを弾いていて、千歳と目が合うとニッコリと笑った。
「千歳帰ったよー、どう?録れた?」
陽気な口調で花園は、生徒会室の隣にある資料室の扉を開けた。
「バッチリです、先輩」
返事をしたのは、ヘッドホンをしたまま手を上げた三波だった。
「先輩達の演奏久しぶりで、感動しちゃいましたー」
少し涙ぐみながら、一年生の早川世莉が言った。