「え、いや、え?何で知ってるの?」

「あ、やっぱりね…里美さん辺り言いそう」

「うっ」

「あれからね、いろいろあったよ…父親が亡くなってから…うちの会社世襲制だから、若いみそらで社長になっちゃってね」

クスリと、鳴海は笑った。

「でも終わった…終わったんだ…」

うつむき加減に目を閉じて、鳴海は小さな声で呟いた。

「…それは、つらかったね…」

倒産という形でしか、鳴海は自由になれなかったのだ…と千歳はそう思った。

「そうでもないよ」

「へ?」

「引き継ぎは上手くいったし、建て直しは奇跡と呼ばれたよ?結構才能あったんだなって、関心しちゃったよ、自分で…」

「え?!つまりそれって…」

「うん、つまりグループは解散したけど…名目上はね。体制を変えるのに、7年もかかっちゃったって事、大変だったよ」

鳴海はコーヒーを一口飲むと、また話し出した。