文化祭が終わり、学生のお祭り熱が一段落したとある日の放課後、千歳のクラスに花園が訪れた。

「…だからね千歳、そーゆー理由で、うちの部に入らない?」

花園は頬杖をつきながら、人懐っこい笑顔で千歳を誘った。

「…断る…」

なるべく花園の顔を見ないように、そっぽを向くと千歳は答えた。

「えーー何で?」

「…何度も言ってるけど私、楽器遠のいてから二年も経つんだよ?ブラスについて行ける訳ないでしょう?」

「えーそんなの問題ないって、千歳なら大丈夫」

「なーにを根拠に…」

大丈夫なんだと、心の中でため息をついた。

「それに今回の課題曲は、アレだから…」

花園が言いかけた時、ヌッと腕が伸びて机の上に置かれると、二人の間に入って来た。

「…先輩、ここで何してるんですか?」

「あれ?みなみちゃん」

花園は間に入った、一年後輩の三波和志に問いかけた。

「どうしたの?」

「〜〜どうしたじゃありませんよ!先輩がいないと、練習が始められないじゃないですかーーー!」