「…まぁいい…それじゃ、その方法を言うから守れよ」

「うん!」

「お前…帰りたければ、あの子に不用意に近づくな…」

「え?」

「それからもう一つ…本気で帰りたいと思え…以上だ」

そう告げると、男はそのまま立ち去ろうとした。

「すみませんが、もうちょっと具体的に教えてもらえませんか?」

鳴海がねばる…

「…具体的に…俺は今から、あの子に暗示をかける…これが近くと、前世の記憶を思い出す…とな」

「なるほど、千歳の回路を開けるのか…あ、でもそれじゃあ…」

「ただし、これが帰る気がない時に近いても、効果がない…現世に未練を持った残留思念など使えん」

「え?」

「お前…すぐに返してやると言ったら帰れるか?」

「あ…」

「そういう事だ…いいか、もしまたあの子に認識されれば、今よりもずっと変質が激しくなる。そうしたらお前は、もう残留思念とは呼べないよ…」

「うん…分かった」  

男は淡々と話し終えると、皮肉な笑みを残して、今度こそ立ち去ろうとした。