「…で、その方がどのようなご用で…？」

至って冷静に話しをしようとした鳴海に、辛辣な言葉が返ってきた。

「とぼけた事を言う…お前は予想がついているだろう…」

「まぁ、だいたいは…」

ふと、さえの心配げな視線に気づいて鳴海は、さえに笑いかけた。

「さえちゃん…実はちょっと、ヤバイ事になっているんだよ、君が…」

「え？」

「…まどろっこしいな…雪村沙絵…お前さっき、あの子に姿を見られただろう？」

「？…うん…」

「…何も変わったところは、なかっただろう…」

「うん…あ、れ？それって…」

もしかして…

「…やっと気づいたか。あの子がお前を、自分の残留思念だと認識出来なくなってる…という事は、帰れないって事だろう？」

「うそ…」

「…嘘じゃない、何なら試してみればいい…」

「そんな…どうしよう、お兄ちゃんー」

さえがすがるような目で、鳴海を見上げた。