†                       「…残留思念?へぇ…で、何かなそれ」

ラーメンを食べながら花園は、前の席にいる鳴海に質問した。

鳴海は隣の席に移ったさえに、目で確認を取り…コクリとうなずくさえを見て、説明をはじめた。

「生前の…この子が残した思いが、関わりの深かった場所に、留まってしまう現象を言うんだけど…」

「へぇ…そうなんだ。霊とかとは違うの?どのみち初めて見たなぁ…自慢じゃないけど、霊感ゼロなのにね、オレ」

「…驚かないから、見慣れてるのかと思った…」

半透明に透けている、さえを見ながら言った…

「話だけなら、うちの姉から聞いてるんだ…うちの姉強いから」

花園はあっさりそう言うと、ラーメンのスープを飲み干した。

「…で、誰の生前の姿なの?その子」

「それは…」

鳴海はさえの顔を見た。    さえも困ったらしく、首を傾げている。

「言ってもいい?さえちゃん」

「…うん、あ、でも…」

「うん、分かってるよ…」

鳴海は花園に向き直ると、話し出した。

「この子の現世が誰なのか、言うのはいいんだけど…たぶん、そちらと縁の深い人だと思うから…ただ、もし知り合いだった場合、その人にさえちゃんの事を話さないって、約束出来ますか?」

「ええ?どうして?」

「…いろいろ、あるんですよ…」

「そうなんだ…分かった、約束するよ…で?」