†                       「鳴海めちゃくちゃ久しぶりーー、老けた?」

鳴海が部屋に入って来るなり、花園は鳴海に抱き着いた。

「…花園もね。ところで、どうしてここに花園がいるの?千歳」

「どうも鳴海に会いたかったみたいよ、熱いわねぇ…ソバ食べる?」

千歳は三人分のソバをテーブルに並べると、もみのりをちぎっている…
ざるソバが年越しソバのようだ。

「もう25かー、老けるよなーお互い…千歳はあんま変わらないけどねー」

「若いと言って!毎年会ってる私と、七年ぶりに会う人とじゃ、たいした違いじゃない?」

「あー、二人とも年の事じゃなくて…」

「ソバのびるよー、紅白もトリだね」

千歳が箸を取り二人にソバをすすめると、話は後に回し、三人で静かにソバをすすりはじめた。

テレビの向こうからは、ゴーン・ゴーンと除夜の鐘が鳴り、時報の音とともに新年のカウントダウンがはじまっている…

「…で、何しに来たの?」

ふいに花園へ二人から同時に、質問が浴びせられた。

「え?」

「あ、明けましておめでとうございます」

「おめでとう、今年もよろしく」

「あ、こちらこそお願いします…」

千歳、鳴海、花園と挨拶をすると、用意されていたシャンパンで、新年の乾杯が交わされた。

「ああ、そうそう思い出した、鳴海に許可をもらいに来たんだっけ」

「許可?…って何の?」

キョトンとして、二人は花園を見つめた。