「ハルさん、コーヒー飲んでいきますか?」

「お、サンキュー、でも今日はやめとく…雪がつもると配達が厄介だし、早く終わらせないと娘が怖い…」

軽く肩をすくめると、穏やかに言った。

「そうでした…じゃあ気をつけて。あ、これ良かったら持ってって下さい」

千歳は先程ラッピングしたクッキーの詰め合わせを、生島に渡した。

「サンキュー、娘もここのお菓子のファンだから、喜ぶよ。じゃあね、さつきちゃん、鳴海君…良い年を」

生島はそう言うと、足早に店を出て行った。

バイクの遠ざかる音が小さくなり、また店内に静けさが戻った…

「暮れは大忙しだね、うちと違って…」

千歳が入れたてのコーヒーを、鳴海の前に置きながら言った。

「そうだね…ところで、さつきちゃんて言うの?生島さんの娘さんも」

「うん偶然にね、7歳の子。かわいいよ、すごく気が強い子だけど」

「へえ…」

「あれ…この小包、差出人不明になってる…」

二人はたった今届けられた、バレーボールがちょうど入りそうな大きさの包みを見つめた。