体育館を出て教室に戻る廊下で、もしかしたらあの彼とすれ違うことはないかと辺りを見回した。


見慣れた顔触れに新入生と言われてもピンと来なかった今朝までと違って、あたしは期待の芽が出てきたのがわかった。


…また、会えるかもしれない。


明るい教室に入り、窓際一番前の席に座る。

カーテンを揺らす風が暖かくて、春がきたことを実感する。