窓の外を見ていた会長が、急にあたしの方を振り向いた。


「見すぎ」

笑いながら、あたしの頭にぽんと手を置いた。

「なんか、懐かしくて」

言いながら、変な言い訳だな、と自分で思った。


「莉子はかわいくなったな」

さらさらとあたしの髪の間に指を通す。

「会長、誰か来るかも…」

会長はふっと笑った。
「会長って」

「だって、会長でしょ?」

あたしの言葉は、会長のキスで塞がれる。

唇が離れてから、あたしはこうされたかったんだとわかった。