校舎を出ると、春風が髪をふわっと舞い上げた。
急にさっき会長が触れた髪が熱を持っている気がした。


思い出してドキドキする。


まるで髪に神経が通っているみたいだった。

自分で、髪に触れてみる。


「何してるの?」

ふいに後ろから声をかけられて、ビックリして振り向いた。


笑顔の会長が立っていた。


あなたのことを思い出していました、なんて、言えるわけない…。

あたしは慌てて、何にもしてません、と答えるのが精一杯だった。