「ごめん、別れよう」
カップルならば幸せ絶頂期のはずのクリスマス。
空は曇っているが、それは地上にちらほらと影を落とす雪の天候のせいだ。
ー…そっか、今日は世でいうホワイトクリスマスか。
そんなロマンチックな日に振られる私って、なんなの。
申し訳なさそうにうつむく彼から、手をつなぎ、互いに見つめ合い、愛を分かち合っている恋人たちへ目を移す。
よりによってこんな日に、こんな場所で振る男なんかこっちから願い下げ。
…願い下げ、したいけど。
「やだ、別れたくないよ」
すがりつくように、彼の服を引っ張る。
好きだから。
大好きだから。
この先後悔するとしても、別れたくないと思ってしまう。