冬は空が暗くなるのが早く、
親の教育の厳しい絢那とは門限の7時に間に合うようにばいばいした。
絢那と一緒に笑っていると、失恋したことを忘れていられるのに
一人になった途端、辰樹の顔が思い浮かんで胸が苦しくなる。
「…はぁー」
不意に出たため息。
「あんなやつ嫌い!」と愚痴って、自分に諦めろと言い聞かせて、
それでも「会いたい」と、
それでも「好き」と、
そう思ってしまう私は
馬鹿なんだろうか。
どれだけ想っても
辰樹には届いてない。
届いたとしても、あいつはまた
クリスマスの時に浮かべていた表情で「ごめん」と伏せ目がちに言うだろう。