乙女の鮮血、そう口に発するより早く私は口を塞がれ、




503号室の中に押し込められ、




玄関ドアと彼に挟まれている状態である。




「んーっ!んーっ!」



「黙れ」




ドスの効いた声を間近に聞こえて




あ、怖い




単純にそれしか頭に浮かばなかった。




「いいか?手は離してやる。だが大声を出したり逃げ出そうとしてみろ。どうなるのかわかるよな?」



「……っ!」




うんうん、と首だけで対応する。




よし、と言って離された手




「ブハァッ!」




死ぬかと思った。
いや、今のその危機か




「…あ、えっと」




恐る恐る見ればやっぱり503号室の住人だ。




「おい何してる」



「え?」




なんの話?




「手」



「手?」




私の右手には携帯




「……つい、」



「警察にでも通報する気か?」



「……………マサカ」



「こっち見ろや」




携帯取られた。