『本日、日本に滞在していたクリス・ルーチェル夫人が所持していた[乙女の鮮血]が何者かに盗まれたと報告がありました。』




「イテェっ!」



「もぉー‥何してんのよあなたは……」




痛がった場所は右足の小指




そりゃ痛がるだろうが!とやり場のない怒りがこみ上げていた。




「引っ越し早々ツイてない!」




私の名前は
橘 深琴(タチバナミコト)
19歳
国語教師志望




大学1年生の私は大学から近い、姉の家ー‥このマンションに今日引っ越してきた。




幸先が悪すぎである。




『また、この犯行は先月の[ルージュ]の絵画が盗まれた時と同じと見られ、警察が現在捜査しているとの事です。』




ニュースまで物騒である。



『こちらが盗まれた[乙女の鮮血]の写真でー‥』




「ほら!そんなとこでうずくまってないでお隣さんに挨拶してきなさい!」




慈悲もない姉である。




姉から受け取った箱、まぁ中身はただのタオルでありますが




それを持ってお隣に挨拶をしに行く。




ピンポーン




……




…………




「早速留守かぁ!」




どうやら501号室には誰もいなかった。




ちなみに私達の部屋は502号室だ。




そして502の右隣、503号室のインターホンを鳴らした。




ピンポーン




出ないかぁ‥




諦めようとして、ガチャリと開いたドア