「これ食べて。」

助手席に乗り込んで 肉まんとコーヒーを渡すと

「サンキュ~」

車が動き出した。


「助かった~すっかり遅くなっちゃって。
これからまた地下鉄乗ってとかだったから
ありがとね。」

「気にすんな~って
どうせ家に帰るだけだったしさ。
それよりもこの間~」

しばらく飲み会の話で盛り上がった。


「そう言えば何してたの今日?」

「ああ 園児を家に送り届けてきたの。
全然迎えに来ないんだもん。ほんとに
信じられないくらい責任感のない親で
呆れちゃった…子供がかわいそう・・・・。
思わず発狂してきてしまって……
明日はクレームになりそう・・・・・。」

「発狂とか ヤバいな~」

早川が爆笑した。

「だって同じ年くらいなんだよ。学年なら
一つ上かな~。」

「マジに?」

「信じらんないよホントに
子供は親を選べないんだから……可哀そうな陸…。」

「ん?」

早川は煙草をくわえてこっちを見た。

「陸?若い親?
もしかして翔くん?安田 翔?」

「安田・・・そうだよ安田 下の名前はわすれたけど。」

「あ~~翔くんね~」
早川が言った。