「ここだよ。」

家が近くなったら 陸が走り出した。

事前にネットで確認してきたけど
社長とか言ってたから 大きな家だった。


「そこじゃないじゃん。」

陸が走り出したのは その家にいく手前の道を
まがったところにある アパートだった。

「おばあちゃんのおうちはまだ向こうだよ。」

「こっちが陸とおとうさんの家だよ。」


陸がいいはる アパートの前でしばらく
待っていた。

「眠い……。」陸がフラフラし始める。

「だっこしようか?」

陸は恥ずかしそうに私を見上げて手を伸ばしてきた。

「よいっしょ!!」

陸は軽かった。
普通の子より全然 

ろくな食生活をしていないんだろうと思った。

スー  スー

寝息が聞こえてきた

陸の寝息とともに 怒りが湧き上がってくる。

遅いし・・・・・・
いったいなんだと思ってんだか・・・・。

足音が近づいてきた。
私はその方向に思わず顔を向けると

スーツ姿でコンビニの袋をぶらさげた若い男が
近づいてくる。


こいつか?
爆発寸前だった。