陸の口からいろんな話が聞けた。

陸の両親は日頃から喧嘩ばかりしていて
父親とはあんまり会ったことがないくらい
忙しい仕事をしてると聞いていた。

母親はそんな毎日にイライラし始めて
陸はずいぶん 気分次第で叩かれたり叱られたりしていたようだった。

「あんたさえいなきゃ
自由になれるのに・・・・。」

母親は失踪する少し前からそう言って
陸を叩いていたらしい。



園長の話では 高校の同級生だったと聞いた。


愛し合って陸を産んだんだろうけど
たった四年で変わってしまうほど
愛って頼りないものなのかな。


陸と手をつないで地下鉄に乗った。

いつもは全然喋らない陸が 楽しそうに足をぶらぶらさせた。

可愛いとこたくさん見たような気がしてうれしかった。

佳真にメールして七時には間に合わないけど
お仕事頑張ってねと送信した。

なかなか声が聞けないから・・・・
でも

頼りない小さい天使
放り投げることもできないし

「先生この乗り物初めて乗った。」

「ほんと?」

楽しそうな陸が 愛おしいと思った。