「困ったね・・・・。」

さすがに頭に来ていた。

今日は 佳真の空き時間が七時くらいだったら
少し話ができるって言ってたのに
ウダウダしてたら間に合わない。

その時だった 陸がしくしくと泣きだした。

「どうしたの?」

「おとうさんも陸のこと嫌いなんだね。」

「そんなことないよ。」

「おかあさんも陸のこと嫌いだって言ったよ。
だから出ていくんだって…おとうさんも
出て行ったのかな。」

可哀そうな陸

「そんなことないよ。
おとうさんは忙しくて電話できないんだよ。」

「朝もめんどくさそうだった。
ババちゃんが あんたの子どもでしょって怒った。」

哀れで胸が締め付けられた。

ちっこい体で大人の勝手な事情を
受け止めている。

「先生は陸が好きだよ。
だから安心して 一緒に待ってようね。」

「おとうさん来なかったら
陸どこへいけばいいの……。」

「大丈夫 今夜は先生のうちにおいで。」

「ふえ~~~ん」

陸を抱きしめて頭を撫ぜてあげた。