「陸はもう字も読めるんだ。」

かるたをしたら簡単にとってしまった。

「字も書けるの?」

「書けるよ。」

「誰が教えてくれるの?」

「おとうさんがクリスマスにくれた。」

「おとうさんが教えてくれるの?」

「ううん。自分だよ。
おとうさんは忙しいんだって。」

おかあさんのことはさすがに聞けなかった。

「陸は友達とかほしくない?
一人で遊ぶのつまらなくない?」


陸は答えずにかるたを片付けた。

「幼稚園は学校に行く前に
お友達の作り方や遊び方も勉強するんだよ。」

「ふ~ん・・・。
陸は一人がいいもん……。」


陸は立ち上がって時計を見た。

「六時だ・・・・。」ぼそっと言った。

そろそろ困ってきた。
資料を調べて 携帯に電話をしたけど出ない。

「おばあちゃんってどこかへ行ったの?」

「ジジとフランスだって。」

せめて孫が落ち着くまで待てないのかな・・・・。

今日に限って園長も出張中
何度か父親の携帯に電話をかけ続けた。