「ずっと忘れられなかった……。
サッカーもダチも諦めはついたけど……
蘭だけはずっと諦めがつかなかった。
結論を出すには 時間が短かったんだ。」


マジ?

「ずっとずっと会いたかったけど
傷つけて……どのツラさげて会えばいいのか
何度かこっちに来たとき
蘭の家の前に行ったけど 勇気がなくて
引き返したんだ。」

嘘……


「蘭……今日まさか会えるなんて思ってなくて
俺 大混乱してるけど
言いたいことは……もう離れたくない…。
自分の置かれてる立場も理解してるけど……
抑えきれない……。」

風を切りながら 佳真は私を引きずって歩く。

恥ずかしそうな横顔

「真面目に言ってる?」

「真面目だよ。」

「だって芸能人じゃん……。」

「芸能人だよ……。蘭を巻き込みたくなくて
あの日 さよなら したんだった……。
あの時の方が 大人対応かもしんないな……。」

「ばれたら……大変だよ。」

「そん時はそん時……ただ
もう少し大きくなりたい……。
それまで誰にも邪魔されたくない……。」

佳真はそう言った。