「今度は絶対に離さない。」

「え?何言ってんの?
ちょっとお願い 人が見てるでしょ?
Kei だって気づかれたらどうするつも……」


また佳真の腕に力が入った。

何が何だかわからなくて
そしてまだ忘れられない人に抱きしめられて
舞い上がる私。


「後悔…した……。」

「佳真 ね ちょっと離れて……。」


相手役が私じゃなかったら
まるで映画かドラマの ワンシーン


「ふざけてんの?」

佳真はそのまま 私の腕をとって歩き出す。

「疲れたらタクシーに乗せるから
まだ一緒に歩こうよ。」


ドキドキ

胸の鼓動が 佳真に聞かれませんように


しばらく無言の時間が続く


さっき 絶対に離さない 後悔した って言った。



どういう意味?

もしかしたら 私たちの未来に奇跡はあるの?

いやいやありえない……。
絶対にありえない……

ぬか喜びにならないように 必死に自分に言い聞かせた。