現地は三日三晩荒れ狂った空が嘘のように
晴れ渡っていた。

私たちは　佳真たちが取り残されている島へは
渡れずにいたけど

海はまだ　荒れている。


現地スタッフや　撮影隊のスタッフが忙しそうに
連絡をやりとりしている。


豪華なホテルだった。

「Kei　のご家族ですか？」

数人の男性が近づいてきた。

「姉です。」おねえさんが頭を下げた。

男性の視線が私に移って　
私は自分を何て紹介したらいいのか　考えていた。

「あ……」

「Kei　の婚約者です。」

後ろから声がして　振り返ると社長が立っていた。


「この撮影が終わったら　結婚するんです。」

私の肩を抱いた。

婚約者と紹介されて　嬉しかった。


「泉田と言います。」


撮影隊の話によると天候が荒れるとはわかっていたので
早め撤収を呼びかけていたけれど
Kei　と若手の俳優二人とスタッフの
六人が遭難してしまったらしい。　

「申し訳ありません！！！」

男性たちは深々と頭をさげた。