「それに翔だって…私のこと
軽蔑してるよ 育児放棄して母親失格
妻放棄して…別居して 全部私のわがままだから
もう翔を待つのも 陸を育てるのも
私には無理なんだ・・・・。」


「おかあさん…」またそう呼んでしまった。

「一度 こっそりでいいから
陸を見に来てあげて…頑張ってる……。
最初は心を閉ざしてたけど 今は環境に慣れて
輝いてる……それに同じ年代の子よりずっと
大人だと思う。でもおかあさんを待ってる
寂しくてたまらないけど必死で…我慢してるよ。
いじらしくて…たまらない…。」

涙が出てきた。

「おとうさんも最初は常識なくて陸が不憫だったけど
頑張ってる……それを一番理解してんのが陸だから
陸は大人になるしかないんだと思うの。
風邪こじらせて入院した時も
病室にはおかあさんがたくさんいても
陸は我慢してたよ。おとうさんは
こんなになるまでわからなかった自分を
責めて泣いてた。今まで 美月さんに
任せっぱなしで 何もわからなかったって……。」

「陸が?入院?」

「うん。風邪こじらせて危なかったらしいの。
陸はおとうさんのお仕事の邪魔をしたら
いけないって 無理に元気に振る舞って
だからおとうさんは気づかなかったんだって。」

美月の目から 涙が落ちた。