番号を押す手が震える



「ぜろ…はち…ぜろ…」



ゆっくり…慎重に…



押した後も打ち間違いが
ないか何度も入念に
チェックをする



「よし…出来た…」




そんなやっとの思いで
番号を押すことが
出来ても、今度は
肝心である通話ボタンを
押すことが出来ない…



チッ チッと時計の針が
進む音だけが
この部屋に響く


それ以外は何も
聞こえない静けさに
私は息苦しくなる





「~っはぁ…」

ベッドに横たわり、
海の番号が
打たれたままの
携帯を見つめながら
私はため息をついた