さざ波の音、潮の匂い。




音と匂いだけでも、幸せを


感じられる。




「海に連れてきてくれて、ありがとう。」





わたしは今までの分もこめて


お礼をした。

「どこまでも俺は咲のそばに



 いるからな」


彼の優しい声。


わたしは事故以来涙を流してなかったが






こればかりには、大粒の涙が









頬を伝った。





彼は


「俺は咲が遠い彼方に行っても





お前だけを愛してる。」



その言葉にわたしは



一生分の涙を流したような感じがした。



「わたしも………愛してるから」




そう、誓い逢ったのに。



すぐに別れがくるなんて、



神様は残酷すぎる。