ギロリと睨まれた感じがしたから、『すみません』と呟いてどこうとした。
すると、腕を掴まれて動けなくなった。
……何だこいつ。
怪訝な顔を向けると、黒髪は鋭い目つきで私を見て居た。
あぁ、こいつ睨んでたんじゃなくて目つきが悪いのか。
そんな事を思いながら誤解した私自身に嫌悪感を感じた。
「……お前、名前は」
………は?
『…人に名前聞く態度ですか、それが』
冷淡な声を吐き出すと、僅かに黒髪の眉が動いた。
その後、ふっと柔らかい表情になった。
「お前、面白いな」
黒髪のその一言に、周りの連中は目を見開いて私と黒髪を交互に見た。
それが実に滑稽で、少し可笑しかった。