そんなに、自分を知らない奴が珍しいか。



余程の自意識過剰だな。



精神科医行った方がいいんじゃねぇか?




そんな失礼な事を考えながら赤い髪を見ていた。




「……琉稀くん?」



『……君付けとか、いいから』



てか、キモい。


私がそう言うと、芦屋は笑った。



「……琉稀、イイね」





何が?



とは、聞かなかった。




何だか、





値踏みをされていた様で不快だったから。








私は突っ伏して寝ようとすると、腕を強い力で掴まれる。




思わず振り払おうとしても、思いの外強く、振り払えず上に上げられ体ごと立ってしまった。



「わん、つー、すりーで走ってね?」



は?




「わーん」




何言ってんだこのチビ←




「つー」





ちょ、マジで何なの。





「すりー!」




ぐわんと体が傾き、足が高速で回転する。




私の体はすぐに反応して体制をたてなおして引っ張られる感じで走る。




『何なんだよ‼』



「ちょーっとだけ走ってね‼」



芦屋に殺意を覚えた。



それも一瞬。




私はすぐに行き先がわかってしまった。