いたぁ。


「大丈夫?」


「あ、ありがとう。」


わあ、なんとも顔立ちのいい男子。
この人、わたしの救世主?


「立てるか?俺、E組の凪 隆平。」


男はそう言って、立たせてくれた。
組と名前まで教えてくれたし。

ネクタイの色からわたしと同じ学年ってわかった。



「名前、なんていうの?」



「あ、名前ね。えっと」


「名前の前にえっとって。自分の名前、覚えてますかー?」


何この男。いい人だと思ったけど、わたしの勘違い。人助けする人はいい人だとか言うけど、この人、例外。


一瞬でわたしの中の好感度が下がった。
ドン底にね!


あー何この男!なんか無性にイライラする。うわあーーっ!

名前なんて教えるもんか!



「もういい。さよなら。」



よし、こんなの無視して帰ろ。



ばんっ!!



わたしか図書室のドアを思いっきり閉めた。


帰り道もずーっとイライラした。
初対面の男に笑われて、名前覚えてますかー?とか馬鹿にされて、顔がいいからってちやほやされてるんだな、凪 隆平!


あー、なんか名前覚えちゃってるし。


凪ってどっかで聞いた事あるんだよねー。思い出せないけど←


なんか、聞いたことがあるような、ないような。忘れたー。まぁ、いっか、あんな男と事なんて忘れよ!忘れよ!!忘れるもんねっ!!!