あたしは思わず目を閉じた。


不安とちょっと期待が入り混じったドキドキが、あたしの心をふるわせる。



「ごめんな・・・悩ませて。」


肩に伝わった温かさと一緒に、慶吾さんの声が聞こえた。


初めて聞いた、慶吾さんの静かな声。



それがあまりにも甘く、綺麗な声だったから、あたしは慶吾さんの背中をさらに、きつく抱きしめた。



「あたしのほうこそごめんなさい・・・。あんなに怒る必要なんてなかったのに。」



あたしたちは顔を見合わせ、にっこりと微笑んだ。