歩くスピードが早い慶吾さんの背中を、ひょこひょこついてくあたし。



町を歩く人の煙が、少し鼻に詰まる。



「ん。」


急に立ち止まった大きな背中。


ふと見ると、慶吾さんの左手があたしに向いていた。



「お前、迷子になんなよ?こっちが恥ずかしいから。」



「慶吾さんこそあたし迷子になってもあわてないでくださいね?そんな慶吾さんの姿、見てられないですから。」