泊まっている宿に戻ると、わざわざ京から来た土方がいる部屋に向かった。
鴨は生きているが今夜が峠らしい。
土方の部屋の前で別れた永倉が教えてくれた。
「千蒼、てめぇは新撰組1番隊の隊士だよな?
そして今回のお前は脱走したことになってる
脱走したものがどうなるかお前は知っていたよな?」
私が部屋に入り座るのを見ると、なんの前置きもなく淡々と言う土方
その目は、冷たく冷めていた。
仲間を見るのではなく敵をみているかの様な
そんな目…
脱走
こんな小さなことでここまで人への印象を変える物なのか?
そんな疑問が浮かぶ。
その疑問を打ち消すかのように、私も答えた。