幹部たちは皆島原へ行ってしまったようで、屯所内は異様な静けさに包まれていた。
土方の部屋にいた私は、そっと鴨の部屋がある八木邸に向かおうと屯所を出ようとした。
少し歩いて八木邸の前に来たとき
………誰かいる
ここに来て、稽古をつけて貰ったから気配?というのが分かるようになっていた。
「土方さんに頼まれたんですか」
八木邸にいるであろう人に声をかける。
「……気づいたのか?」
「気づきました」
呼び掛けには答えたが姿を表さない
「総司が来ることを予想してたんですけどね」
隠れてる人が誰なのかは、声や気配で分かっていたが、まさかの人物で驚いた。
「総司は甘いから。俺が来た。」
「そうだね。
その方がいい。
総司に私は斬れない…」