大きくて意志のある瞳に高い鼻、さらさらの髪。
何だかお肌も綺麗だし、本当に彼は同じ人間なのであろうか、なんて。

毎日思う。



そして、大人気なのにそんなことは全く気にせず自分のスタンスを保ち続けている時雨くんを、凄く素敵だと思っている。

とりあえず今は、こうしてこの人の隣に座ることが許されている、ということが中々とても嬉しく幸せなことに思えている。


先ほどの言葉からも少しわかるかもしれないが、彼はこの屋上に誰かが来るのをあまり快く受け入れていない。

「立ち入り禁止ですよ」と自分を棚に上げた発言で退出を促そうとする。
もちろんみんながみんな、黙って出て行ったりはしない。
タチの悪い人は暴力を仕掛けて来たりもするけれど、なんと時雨くんは喧嘩も強いのであった。


わたしが屋上に来た時、今の様に柵越しの風景を眺める時雨くんの周りに、数人の男子生徒が屋上のコンクリート床とキッスをしていたことがあったことをよく覚えている。

この綺麗な顔の時雨くんが、あまり表情の変わらない時雨くんが、何を考えているのか全くわからない不思議な時雨くんが、人を殴ったのか、と。


何故こんなに覚えているか…
ともし聞かれたならば、それはすぐに答えられる質問である。


答えは簡単、それがわたしと時雨くんの初めての出会いだったからである。