「あず、あず!」 「なによ、なお」 「ほら見て、雪だよ!」 10歳だった、 冬の始まり。 初雪が降った。 なおは無邪気にはしゃいでから、 目を閉じて立ち止まった。 「なお、なにしてるの?」 「お願い事!」 「えー、なになに、なにをお願いしてるの?」 「あずがもう、泣きませんように」 「えー、じゃああたしは、えっとえっと、なおが幸せになりますように!」 そう言ってあたしも一緒に目を閉じた。