「どうしたの、なお」


「…」


なおは、子犬みたいに小さくなって、


膝を抱えてうずくまった。


あたしはそっと、グランドピアノに近付いた。


そして、ゆっくり触れた。


校内が賑わう中、静かなこの教室に、ピアノの音色が響いた。


ピアノ、習ってたわけじゃない。


小学校の頃に、友達に教わった。


友達が発表会で弾いた曲、


奏でてみた。


久しぶりの鍵盤、


何だか懐かしかった。