「東京行き、まもなく発車します」 新幹線のドアが閉まる。 見送りは呼ばなかった。 「何か飲む?」 お母さんが言った。 「ううん、大丈夫」 あたしは今日、 青森の田舎町を出て、東京へと移り住む。 ずっと、 おばあちゃんと2人で暮らしてたけど、 そのおばあちゃんが亡くなった。 まだ中学生のあたしが、 ひとりで生きていくことはできなくて。 10年ぶりの母との対面に戸惑いながら、 あたしを乗せた列車は東京へと走り出した。