「何今の・・・」

 葵はしばらくの間そこに立ち尽くしていたが、今日は大事な大学の講義があるのを思い出した。

 時計を見るとまだ充分に時間がある。

 シャワーを浴びて、着替えて用意をする。シャワーの湯が擦り傷にしみて痛い。

 どうやって帰ってきたんだろうかと葵はシャワールームで悩むが、答えはどこにも落ちていなかった。 どうやって帰ってきたんだろうかと葵はシャワールームで再度悩むが、答えはどこにも落ちていなかった。思い出そうにも記憶がプツリと切れている。いくら考えたって何も出てこない。


 ワンルームのハイツは、可もなく不可もない。大学生の一人暮らしには丁度良い広さだ。家賃は大学近くの居酒屋さんでバイトをして払っている。居酒屋のバイトには『まかない』がもれなくついてくるので、一食浮く。1年生の時から続けている勝手知るバイト先でもあり、なにかと融通がきくので重宝していた。


 そこに行ったらもしかしたら何か連絡がいっているかもしれない。
 そうだ、もしも病院へ行ったのなら私の両親やもしかしたら一番連絡をしているバイト先に真っ先に連絡が行くはずだ。

 もしかしたら店長が連れて帰って来てくれたのかもしれないし。

 よし、あとで確認してみよう。と、シャワーをきゅっと止めて新しいタオルを手に取り、髪の毛をわしゃわしゃと拭いた。