あの黄金色の人魚は――――恐らく。
振り返っても夜は明けて、穏やかな海と、ひそかに冷やかす仲間の姿しかない―――。
隙をついて、口唇に食らいついてやった。それに真っ赤になって抗議するレトに、ようやく心から笑えた。
ずっと君の傍に。
まだ言い足りないらしいレトの言葉を聞きながら、再び腕の中に閉じ込めてやった。
* * *
"この地域一帯を、行き来自由な地とする"
私とリンを救出した数日間。あちこち破損された場所をある程度直した後のことだ。
村の長エノヒと、ヨウ達の長オーズとの間でそう決まったものは、海に住む者たちへ広く伝わった。