「なっ……!一体何なんだ」
「てめぇら騒ぐな!落ち着け。"奴ら"じゃないのか!?」
「やっぱり"呪われた土地"なんだ……」
野太い声で叱咤している中、男たちの動きが止まった。それは、大きな波から姿を見せた影。
"ここ"では姿を見せないはずの人魚だった。
ヨウ?
一瞬だけであったが、彼が来ている――――そんな気がした。
再び船は大きく揺れ、私は海水を被る。船の上は大混乱状態だった。リンはどうした?男たちの「た、助けてくれ!」や「うわあああ」という声で、聞こえない。
弓矢を受け倒れ、海に落ちるのを私は見た。逃げなくてはと思っても、一体どこにいけばいいというのか。