海水を飲んでしまい、私は噎せた。
まさかヨウのことか?
ヨウが連れて来られたという難破した船の生き残りなら、ヨウの顔や正体を知っていてもおかしくはない。
ヨウをおびき出すために、私を連れて来たとしたら―――ヨウが危ない。
村を出たのだから、と私は思う。彼はどうなったのか私は知らない。
「お、お頭!」
怯えたような声がした。
それに続いて悲鳴のような声がし、船上は混乱していた。何があった?私は海水に噎せながら辺りを見た。
悲鳴を発したであろう男の首に、矢。
――――何故。
もちろんここは、海の上。海上には私がいるこの船しか、他の船の姿はない。
なら……と呆然としている目の前でまた一人、弓矢を男が受ける。