大きく揺れる船で、男たちか慌ただしく行き来し、なんとかしようとしている。
薄暗い海の上。
私は、どうしたんだったか。
痛みと揺れに気持ち悪くなりながら、襲われたことを思い出す。村は?そこまで考えて「レト!」と声がした。
そちらに視線を向けると、縄でしばられたリンだった。
「よかった、気がついて」
「何が、どうなって……?」
涙目のリンは、村に何があったのか話した。
予想外だった。村に来た商人が賊の者だったなんて。
この賊はヨウをさらった船にいた者の仲間だと聞いた。生き残りが商人となり、村に入り込んだらしい。
村から連れて来られたのはリンと私だけだという。リンまでさらわれることになるなんて。涙を流すリンを見て、己もまた怖くなる。
これからどうなるのか。
見たところ海は荒れ、危険だ。前のように難破しかねない。