「すいません……」

「何が?」

「いえ……上司にしてもらう事じゃありませんから」


これじゃまるで、彼氏だ。

私の言葉に、あぁ。と納得したような櫻井さん。

そして、さも問題ではないといった様子で。


「だからといって、放っておくわけにもいかないだろ」


そう言った。


唖然とする私を置いて、テーブルの上にご丁寧にも買ってきたであろうミネラルウォータまで置いた櫻井さん。

そして、換気の為か窓まで開けてくれた。


本当に、根っからの世話焼きだ。

まぁ、でも普通に考えて、出張で部下が高熱で倒れてるのにトンズラできないだろ。

1人の大人として。


だけど、ここまでされると申し訳ないというか、逆に気まずい。

彼が社会的に私を助けてくれてるのは分かったけど、きっと本心では迷惑に違いない。